東京高等裁判所 昭和60年(う)52号 判決
被告人 ピーター・ローター・グラノウスキー
〔抄 録〕
しかしながら、大麻の有害性は、大麻取締法による大麻輸入の規制目的の正当性、その規則の必要性、規制手段の合理性を基礎づける事情であって、いわゆる「立法事実」に属するから、「判決事実」とは異なり、必ずしも訴訟手続における立証を要しないものである。したがって、原審がこの点について証拠調べを行わなかったからといって、訴訟手続における瑕疵の存否の問題は生じない。そして、大麻の有する薬理作用が人の心身に有害であることは、自然科学上の経験則に徴し否定できないところであり、その有害性にかんがみると、刑罰をもってその輸入行為を禁止することは、国民の保健衛生上の危害防止という重要な公共の利益を確保するため必要かつ合理的な措置であって、この点に関する立法府の判断は、その合理的裁量の範囲を超えるものということはできず、このことは累次の判例(東京高裁昭和五六年一二月三日第四刑事部判決及び同事件に関する最高裁昭和五七年九月一七日第二小法廷決定の趣旨、以上は刑集三六巻八号七六四頁登載、その他東京高裁昭和五六年六月一五日第三刑事部判決・刑裁月報一三巻六・七号四二六頁など参照)に照らしても疑いのないところである。
(寺澤 片岡 小圷)